アヴァンマルゲン3ボックス・セット内容詳細(プレス枚数はオリジナル盤当時のもの)

<Vol.1>

Bernard Heidsieck "Poeme-Partition X" LP (1VocSon006)
50年代から活動を続けるフランスの音響詩人。言葉の響きのみを重視した「音響詩」の朗読。詩というよりはヴォーカリゼーション。朗読というよりはパフォーマンス。初めて音盤化される60年の録音。300枚限定。

Henri Chopin "Cantata for Two Farts & Co." LP (2VocSon007)
フランス音響詩の巨匠の70年代の未発表を含む音響作品集。‘p’‘s’‘j’音、また‘sh’音の探究、口にあてた普通のマイクと喉に飲み込んだ(!)特殊マイクのミキシングなど。音質はミュージック・コンクレートに近い。300枚限定。

Bernard Heidsieck "Vaduz" (3VocSon009)
音響詩の朗読。世界各地の美術館やギャラリー、フェスティヴァルで何度もパフォーマンスされたエドシークの代表作。74年の録音。オーヴァーダビングしたソースを左右チャンネルでずらしたり、リヴァーブをかけたりといった単純なテープ操作で、驚くほど豊かな音響的効果を作り出している。ただしA面12分24秒のみ。B面はなし。200枚限定。

Philip Corner "Word-Voices" LP (4VocSon010)
アメリカ実験音楽の作曲家。ガムランに影響を受けたミニマリスティックなパーカッション作品で知られる。60年代には前衛芸術運動フルクサスにも参加し、ラ・モンテ・ヤングや小杉武久、オノ・ヨーコらと共に数々の‘イヴェント’‘ハプニング’でパフォーマンスを行なってた。本作は62年のヴォーカリゼーション・アンサンブル作品と同年の管楽アンサンブルと声を用いた作品、81年の声とベルを用いたソロ・パフォーマンス作品の3作を収録。いずれもパフォーマンス色が強い。初回プレス500枚。

Henri Chopin "Les Mirifiques Tundras & Co." (5VocSon012)*黄色ヴィニール盤
偉大なる音響詩人の95年の最新作と72年の旧作、93年作の "Souffles des tempete" を収録。いずれも未発表曲。"Souffles des tempete" は、喉に飲み込んだマイクがひろった呼吸音を変調しまくり、北国に吹きすさぶ嵐の音にした作品。830枚限定。ピクチャー・ディスク。

Sten Hanson "The Sonosopher Retrospective" (6VocSon017)
ストックホルムの電子音楽スタジオで音響詩/言語音響作品の可能性を追究した音響詩人。人の声や語りをループして重ね、音楽を構築する手法はスティーヴ・ライヒの初期のミニマル作品を思わせるが、ハンソンはより純粋に言葉の響きを追究。笑い声、鐘の音、聖歌合唱、動物の鳴き声などを使った作品を含め、彼の65年の初期作品から95年の近作まで幅広く集大成。545枚限定アナログ盤。

Ake Hodell "220 volts Buddha" (7VocSon018)
40年代にはスウェーデン空軍パイロットとして活躍したが事故により退役、療養後60年代に実験的なアーティストとしてデビュー。コンクリート・ポエトリー(具体音詩)、ピクチャーポエム(絵画詩)、テキスト=サウンド・コンポジション(言語音響作品)など、マルチ・メディア・アーティストの先駆として活動した。表題作『220ボルトの仏陀』は変調されたヴォイスとゴングによるノイジーな音響作品。ほかに台詞と地下鉄や交通騒音、犬、狼の鳴き声、ハープ、モーツァルトのオーケストラ作品などをミキシング/コラージュした音響ドラマ。2作とも70年代初頭の作品。545枚限定アナログ盤。


<Vol.2>

Brion Gysin "Poems of Poems" LP (8VocSon021)
ビート・ジェネレーションの代表的詩人/アーティスト。ウィリアム・バロウズが『裸のランチ』で用いた‘カットアップ’の手法の考案者。50年代末にモロッコに渡り、バロウズとは生涯深い友情によって結ばれ、共に文学的実験をおこなった。‘シンクロ・エナジャイザー’の原型の「ドリームマシン」も60年代に発明している。このLPにはパリのビート・ホテルで録音した本人の語り(とオープンリール・レコーダー自体が発するノイズ)のテープを切り刻んで張り合わせた58年の文字通りのカットアップ作品が収録されている。630枚限定アナログ盤。

Bernard Heidsieck "50/70" LP (9VocSon022)
フランスの音響詩人の朗読パフォーマンス作品。前半は様々な言葉・発声の音響的な探究を行なった初期の "Poem-Partition" のシリーズ(57〜58年)、後半は77〜79年の朗読(といってもほとんどヴォイス・パフォーマンス)作品を収める。"Democratie II" は68年パリの5月革命当時の国会での拍手や野次などのノイズをバックに歴代の大統領の名前を読み上げるパフォーマンス。"Publicite" は77年4月から78年3月に新聞‘ル・モンド’に掲載された様々な政治的な意見広告を朗読してコラージュした作品。480枚限定アナログ盤。

Jose Luis Castillejo "The Book of i's" LP (10VocSon025)
スペインの貴族階級出身の外交官にして前衛芸術家。70年代に自費出版した3冊の本(というコンセプチュアルなアート作品)の本人による朗読。『iの本』は英語のページ番号に‘i’が入っているページ(例えば FIVE)のまん中に‘i’の文字が印刷されているだけの400ページの本。他のページは真っ白で当然朗読は‘イ’のみ。『本の本』は何も印刷されていない400ページの本を1ページずつ撮影してから写真製版で印刷した本。朗読はページをめくる音のみ。もう1冊はアルファベットの文字が印刷されているだけの『18文字の本』。何れも意味性を超越した文字/書物。240枚限定。超珍品。

Gil J. Wolman "L'anticoncept" LP (11VocSon032)
イジドール・イズーのレトリスム・グループから出発して後にウルトラ=レトリスム・グループを結成した前衛詩人。唸ったり叫んだり息を吐いたり鼻をすすったりえずいたり鼻を鳴らしたり咳をしたり、すーすーぺちゃぺちゃしーしーずるずるちゅーちゅーんーんーちっちっびーびーじゅーじゅーげーげーと様々な音を発して、口腔器官の音響的可能性を追求した63〜72年録音の "Megapneumies" 。"L'Anticoncept" は52年作の同名アヴァンギャルド映画のサウンド・トラック。音響を重視したフランス語の詩の(アントナン・アルトーを想起させる激越な)朗読。テープ・スピードの操作も用いられている。400枚限定。

Isidore Isou "Poemes Lettristes 1944-99" LP (12VocSon033)
ダダの流れを汲み、1940年代後半に「言語」から還元された「文字」と「音響」そのものを素材にして詩作するレトリスム(Lettrisme「文字主義」)を提唱しグループを創設した前衛芸術家。音響詩人アンリ・ショパンに多大なる影響を与えた。本作は鬼才の初期作から近作までを詩人自身の朗読により新たに録音した貴重なレトリスム作品集。しゃがれ声を張り上げ喉を鳴らし唸り唾を吐き口笛を吹き鼻を鳴らす老詩人の鬼気迫るパフォーマンス(一部72年録音)。弟子筋のフランソワ・デュフレーヌが朗読した最終トラックはトライバリズムあふれる‘アヴァンギャルド=ケチャ’。500枚限定。

Juan Hidalgo "Una voz " LP (13VocSon040)
ジョン・ケージの影響のもとニューヨークのフルクサス運動に呼応して結成されたイタリアのアヴァンギャルド・アート集団 'ZAJ' の中心メンバーの詩作品。67年にマドリードで行われた ZAJ のイヴェントでのライヴ録音。ケージやマルケッティと同様、イダルゴが多大なる影響を受けた「禅」の深遠な教えや禅問答が、スペイン語により音楽的な響きを持って語られ、音響詩的な効果を生んでいる。323枚限定LP。

Arrigo Lora-Totino "Fonemi" LP (14VocSon043)
70年代にクランプス・レコードの名高い音響詩アンソロジー "Futura" を監修し たことでも知られる音響詩人の数少ない音源。65年の表題作は、エコーなどの音響 操作やマルチ・トラック編集なども用いているものの、基本的には音量の上げ下げに よって自らの朗読をブチブチと音響の断片に分断した音響詩作品。併録の『液体詩& 液体音』は、水中朗読と水中オルガンによる水中音楽。ラジオのヴォリュームを急速 に上げ下げしたり、水の中で歌ってみたりして遊んだ子供時代を思い起こさせる。345枚限定。


<Vol.3>

VVAA "Revue OU. Record 1" pictureLP (15VocSon045.1)*ピクチャー盤
VVAA "Revue OU. Record 2" pictureLP (15VocSon045.2)
*ピクチャー盤
VVAA "Revue OU. Record 3" pictureLP (15VocSon045.3)
*ピクチャー盤
VVAA "Revue OU. Record 4" pictureLP (15VocSon045.4)
*ピクチャー盤
VVAA "Revue OU. Record 5" pictureLP (15VocSon045.5)
*ピクチャー盤
鬼才アンリ・ショパンが編集・発行していた伝説のレコード付きアート・マガジン "Revue OU" の復刻版。 "Revue OU" は63〜74年に13冊発行され、うち11冊に10インチ・レコードが付属していた。当時の付属レコードのすべての音源を収録。音響詩、音声詩、前衛詩、ダダ、ビートニク、テープ作品、朗読、ヴォーカリゼイション、創作楽器など、当時の音響実験作品を形式にこだわらず幅広く取り上げている。アンソロジーとしても資料としても貴重。*アヴァンマルゲン復刻ヴァージョンのピクチャー盤の絵柄は共通。

Henri Chopin "The Body is a Sound Factory & Co." LP (16VocSon046)
上記 "Revue OU" のLPボックスだけに含まれていたボーナス・ディスク。65〜81年に録音された未発表作(6作)を収録している。

Ben Patterson "A Fluxus Elegy" LP (17VocSon061)
フルクサス運動に黎明期から参加していたアメリカの黒人アーティスト/作曲家の新作。片面のみ収録の345枚限定LP。アフリカのバンツー族の伝統的なポリフォニック音楽の基本的な約束事を借用して作曲した作品。フルクサスのアーティストたちのイニシャルをモールス信号に置き換えたリズムで弾いたヤマハDJ−Xのヴォイス・サンプリングをルーパーで重ねてミキサーを通し、カセットでロウファイ録音している。結果的にできあがったサウンドは恐ろしく凶暴なサンプリング・コラージュ。